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英語教員養成コースにおける“CLIL(科目内容と言語を統合した学習)の原理と実践”
授業のご紹介

授業のご紹介
2018/12/17

上智大学文学部英文学科長・教授、池田真先生の授業を見学してきました。

*上智大学(英語名SOPHIA UNIVERSITY)のSOPHIAとは、ギリシア語で「人を望ましい人間へと高める最上の叡智」である。この理念のもと1913年に初代学長にヘルマン・ホフマン師を迎え、東京紀尾井町に創学した。ハイレベルな英語教育には定評があり、特にCLILの研究・実践に関しては国内の大学をリードする立場にある。世界のイエズス会系大学と緊密に交換留学を行うなど、創学100周年時に設定した“Sophia Bringing the World Together”の言葉に相応しい教育を実現している。


 池田先生が教鞭を取られているのは、CLILの基本原理からSCAFFOLDING(生徒の理解を促す足場がけ)やTRANSLANGUAGING(母語と外国語間を意識的に行き来させる方法)など、授業を実践する上で役に立つノウハウを多く学べる大学院のクラスです。
 取材当日のALL ENGLISHによる CLIL授業では、日本人は勿論ミャンマー・台湾・ロシア・ドイツ・アメリカといった、各国からの留学生(そのうちの多くは現職の教員でもある)が参加されていて、同学らしいグローバルな学びの環境でした。
 レクチャーではなく、多くのタスクを学習者に与えるかたちであること、更に国を問わず学習者が共通に使用できる英語での授業であることから、活発な発言や討議が行われました。その際に、CLILの一つのメソッドである、基礎的思考レベルのタスクから高次の思考レベルのタスクまでの応用が授業で実践されました。一例として、「inで始まる単語を10書き出し、意味やジャンルなどの自分の基準で分類しなさい」というタスクがありました。勿論これは単純な知識を問うものではありません。単語のリストアップ自体は基礎的思考レベルでできますが、複数の単語を意味内容によりカテゴリー分けするためには、より高次な思考が必要です。このようなタスクを何種類も行うことにより、学習者が自然に思考を深める工夫がなされていました。
 そもそも池田先生がCLILを導入された目的は、何よりも学習者の学びの最大化を実現することであったそうです。CLILの重要ポイントである“4つのC”(Content=内容、Communication=言語、Cognition=思考、Community=協学)をバランスよく授業に取り入れ、タスクベースの授業を継続したところ、学習者の態度がどんどん積極的になり、自発的に学びを深める習慣も身に付いたようです。これこそ学びの最大化を実現できる状況と言えます。これから池田先生のコースを終えた学習者たちが各々の学校に戻られて、素晴らしいCLIL授業を実践されていくことが期待できました。