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公立高校におけるCLIL授業のご紹介

授業のご紹介
2019/01/18

埼玉県立和光国際高等学校の英語科・山崎勝先生とALT・ステファニー先生による、CLIL(科目内容と言語を統合した学習)生物授業を見学してきました。

*埼玉県立和光国際高等学校は1987年に設立され、普通科と外国語科ともに優れた外国語教育に定評がある。CoREFとの連携で協調学習を行うなど、アクティブラーニングに取り組んでいる。2004年には文部科学省の「Super English Language High School」の指定を受け、海外学校と積極的に交流を行う“カケハシプロジェクト”を実施するなど、座学に加え体験を重視する英語教育に特長がある。CLILについては国内学校で先駆的立場にあり、2011年から上智大学と提携し「異文化理解」を中心に現在に至るまで授業を継続している。


当日は、外国語科2年の生徒20名がオールイングリッシュの生物授業に取り組んでいました。使用教材はドイツマインツ大学の生物学専門のニーナ氏による “Let`s Talk Biology:Immunology,”で、風邪やインフルエンザが流行る時期にタイムリーな内容でした。
授業では、インフルエンザに罹患してから潜伏期間を経て発症、そして回復に至るまでの経過を視認し易いグラフを利用して、英語での発表が行われました。これに対する質問も活発に出て、積極的に生徒全員が授業に参加していました。同校はグループワークのジグソー法を効果的に取り入れ、一人一人の生徒が責任を持ち課題を研究し、自分の頭で内容を理解し思考を深める(cognition)習慣ができています。また、チーム内での助け合い(community)の中で、英語での発表表現を工夫する環境も自然に形成されています。生徒たちは英語でのcommunicationに慣れていますので、どのような科目内容(content)を課題としてもCLIL授業が可能という印象でした。アウトプット活動に入る前に予めプレテストを行ない、生徒の理解度をチェックし且つ生徒に弱点を認識させたこと、人間が自然に持つ免疫システムという興味深い内容のインプットを英語表現を参照しながら行ったことにより、自然なアウトプットに繋がる工夫が見られました。これは、英語4技能指導とCLIL両方に精通されている山崎先生ならではのノウハウでしょう。日頃、山崎先生が授業をする上で気を付けておられることをお伺いしたところ、「共通のfactを生徒一人一人がいかに自分の言葉で説明するか。自分の頭で考えたことを言語化するという高次の思考活動を促すこと。」ということでした。こういう指導方針の下、CLILにとどまらず、通常の授業でも主体的・協働的・深い学びを同校では実現されていることがイメージできました。