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私立女子中高におけるCLIL授業のご紹介

授業のご紹介
2019/01/29

横浜女学院中学校高等学校でCLIL(科目内容と言語を統合した学習)聖書授業・生物授業を見学してきました

*1947年に創立された横浜女学院中学校高等学校は、日本プロテスタント発祥の聖地・横浜山手にて「キリスト教教育」・「学習指導」・「共生教育」の3つの教育理念のもと、木目細かな指導を行っている。SGHアソシエイト指定校として外国語能力は勿論、コミュニケーション能力や総合的思考力といったESD(注)の6つの力を教育目標のひとつとして設定している。英語で科目を学ぶCLILについては上智大学教授・池田先生に指導をうけ、県内他校に先駆けて実施している。


当日は、中学3年生によるCLIL聖書授業と高校1年生によるCLIL生物授業を見学しました。同校は、元々ESDをオールイングリッシュで授業するCLILの実績があります。生物授業を行うにあたっては英語科主任・白井先生、理科・宮下先生、ALT・クラヤ先生がチームを作って専門的な意見交換を行う等、周到な準備をしてから授業実施に至りました。授業では、ドイツマインツ大学の生物学専門家の著書である“Let`s Talk Biology:Immunology,”という本格的なオールイングリッシュ教材を使用していました。授業では免疫システムを題材として、インフルエンザや結核など各種病気に罹らないようにする方法をペア毎に英語で発表するなど、現実の生活に役立つ内容を採り上げ、生徒の関心を高める工夫が見られました。聖書授業のペアワークでは道徳的に重要な内容を含む内容を英語で学ぶことにより、日本語であれば直接的過ぎると感じることでも適度な距離感が得られ、スムーズな理解に繋がる側面があったとのことです。
白井先生はじめ先生方の日頃の御指導の成果か、ペアワークではスクリプトを読むのではなく、相手と目を合わせて会話をする姿が見られました。発表が終わった後も、まず「Thank you for sharing your idea with us.」と発言してから質問を行う等、しっかりした英会話マナーを生徒が身に付けていることも印象的でした。
どちらの授業でも与えられた課題を自分の頭で探求し、思考を深めるcognitionが実現できていました。また、科目内容を掘り下げるアクティビティの中で自然に英語語彙を獲得する工夫もあり、科目と語学学習を両立するCLILの効果を体現していました。
生物以外にも「世界史を英語で学びたい」という生徒も出てくるなど、CLILの魅力を同校生徒が実感していることが裏づけられました。今後同校の生徒が海外留学する際は、科目内容の理解をベースとする高度なコミュニケーションができそうです。

(注)ESD…Education for Sustainable Development持続可能な開発のための教育。
一般には、貧困や人権など ”持続可能ではない将来を招く” 課題を自らの問題として捉え、身近なところから取り組み解決に向かっていく学習・活動を指す。
国連でもテーマとして掲げられており、中心となる活動分野は異なるが、国内・国外ともに地域・団体(学校を含む)・企業など幅広く取り組まれている。