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都内の私立中高一貫校における中学・高校それぞれの英語授業のご紹介

授業のご紹介
2022/07/11
國學院大學久我山中学高等学校


*國學院大學久我山中学高等学校の女子部高校2年並びに男子部中学2年の英語授業を取材してきました。

*國學院大學久我山中学高等学校1942年に東京都杉並区に設置された國學院大學系列の私立中高一貫校。男子部と女子部に分離されており完全な男女別学である。全国高校ラグビー大会で5回優勝経験のあるラグビー部をはじめ、陸上競技部、硬式野球部、サッカー部、バスケットボール部など全国大会を経験している部活動が多いという特長がある。一方男女ともにハイレベル大学への高い進学実績のあるSTクラスが設置され、女子部にはグローバル教育に重点を置くCCクラスが設置されていることに加え、男女合同イベントである "Math in English"(all Englishでの数学特別授業)が行われるなど生徒の能力開発に繋がる様々な取り組みを行っている。


まず女子部長の川本ゆり子先生による女子部高校2年コミュニケーション英語の授業を見学しました。

冒頭で、当日の単元テーマである「コロンブスが偽の航海日誌を付けていたのは何故か」を意識させ、生徒が長文を読みながら自然に思考を深めるきっかけを作っていました。
センテンスを音読するタスクでは、川本先生がセンテンスを意味のかたまりで区切ることを意識された音読のお手本を示されたあと、クラス全体がナチュラル且つ明瞭な発音で区切りもしっかり入れて読めていました。
授業中は川本先生から生徒への問い掛けが多く、それに対し生徒が間違いを恐れずに大きな声で答えることを繰り返しており、全体的に参加意識が高いことに感心しました。
更にkey sentenceの中の"false"や"except"といった重要語彙については、時間をかけて意味の確認を行われていました。
これは全ての生徒が長文内容を正確に把握することができるように意識されている印象でした。
通常授業とは別に中間・期末試験時にはスピーキングテストを実施し、プレゼンテーションコンテストも行っておられるとのことで、生徒の英語運用力を高め定着させる工夫が多くありました。

國學院大學久我山中学高等学校

次に窪田謙先生による男子部中学2年の英語の授業を見学しました。

楽器の三線が沖縄においてどのような役割を果たしているかを考えることがテーマであり、生徒に東京での普段の生活と沖縄独特の文化を比較させるなどcultural awarenessを高め、思考を深めるタスクが行われていました。
窪田先生は長文の構造をlogicalに生徒が理解できるよう、"Whose speech is this?"、"What is sanshin?" といったシンプルな問いから"What did the sanshin bring?"といった高度な問いまで数多くの問い掛けを続けておられました。
それに対し生徒がテキストの中からkey sentenceを見つけ、発表した内容を黒板全体を使い整理されていたので、長文理解のための骨格作りを丁寧に実行されている印象でした。
語彙の確認をするためにパラグラフ毎に"Do you have any unknown words?"と問い掛けて、クラスの誰もがきちんとセンテンスの意味を理解した上で次に進む工夫がありました。
語彙の獲得の点では"strength"の意味が分からない生徒には、その日本語訳をただ伝えるのではなく、strongの意味が分かるかどうか確認した上で、その名詞形であることや beautyとbeautifulの関係と同じであることも示されていて、生徒は頭の中の整理と新しい語彙獲得が一気に進んだ様子でした。
このクラスの生徒がall Englishの英語授業に取り組んだのは今年4月からとのことでしたが、短期間で先生の英語での質問に生徒が英語で自由に応答発表できている様子には、これまでの授業で実践的取り組みを積み重ねてこられたことが窺えました。