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都内の私立女子中高一貫校の英語コミュニケーション授業を取材してきました

授業のご紹介
2022/10/07

都内の私立女子中高一貫校の英語コミュニケーション授業を取材してきました

学習院女子中・高等科 1885年設立の伝統ある女子校。都心にありながら、緑豊かで広大なキャンパスの中心に蔵書約13万冊の図書館がある恵まれた教育環境となっている。設立当初から「その時代に生きる女性にふさわしい品性と知性を身につけること」を掲げ、「本物に触れる 過程を大切にする 表現力を身につける」という教育方針のもと、社会に貢献できる人材の育成を目指して教育を行っている。


高校1年生の英語コミュニケーションⅠの授業が2時限連続で行われた様子を見学しました。英語科の河野容介先生がall Englishで教科書の文章について、“What kind of text is this?”と問いかけると、すぐに生徒から“It’s a letter.”と答えが返ってきました。そこで河野先生は“Who received it?”、“Why did she write it?”と授業の冒頭から生徒が題材の内容をしっかり理解できるように様々な問い掛けをされていたのが印象的でした。

2時限を通して河野先生は生徒に多様なタスクに取り組ませ、生徒が多くの気づきを得やすくする工夫が見られました。特筆すべきなのはペアワーク・グループワークの質の高さでした。生徒同士のディスカッションの段階からall Englishで行われていましたので、生徒全員の前で意見を発表する際はどの生徒も流暢な英語でしっかりと表現できていました。 思考を深めるタスクで自分の意見を説明する語彙に迷っている生徒がいると、他の生徒が自然にpeer instructionを行う姿が見られました。「生徒はダイヤモンドの原石」という同校の理念のもと、ダイヤモンドはダイヤモンドによって磨かれるという考え方を体現するような様子でした。また「日本の学校でボランティア活動への参加を必修化すべきか」というディスカッションでは、各生徒の考えを比較できるように、河野先生がワークシートの4つのマスにStrongly disagree/Strongly agree/Slightly disagree/Slightly agreeと記載されたものを各グループに渡しておられたことも目を引きました。生徒は4つのマスのいずれかに自分の消しゴムを置き、ある問いかけについて各生徒が賛成か反対か、そしてその度合いはどれくらいかが一目瞭然で、その後の発表から更なるディスカッションへと繋がっていました。

これらのタスクの中で、当日の授業のテーマの一つであった participle clause(分詞節)についても河野先生が英語で解説されていましたが、生徒はその特徴を認識し、授業の後半では発表の中でしっかり使いこなしており、文構造の理解と英語での発表が両立していました。授業の最後に生徒が理解したことを英文で書き、それを教科書内容と比較して文法やスペリングを自ら訂正し、パラグラフやセンテンスの組み立てを確認するタスクで終了しました。全体を通して生徒が自分の考えをまとめ、それを伝える正確な英語表現を身につけることができる理想的な授業だという感想を持ちました。END