先進的英語教育

- 新たな英語教育に挑戦している全ての先生方に向けたコミュニティ -

東京都世田谷区にある私立女子中高一貫校の中学1年英語授業のご紹介

授業のご紹介
2023/06/21
田園調布学園中等部・高等部

*田園調布学園中等部・高等部
1926年に調布女学校として創立し、2004年に現在の校名に変更した。2012年にユネスコスクールに加盟。2018年には第二校舎(創造探究棟)を改築竣工した。
「捨我精進」という、自分本位の我を捨て目標に向かって努力をし続けること、他人よかれと行動することを建学の精神としている。学校ルーブリック、教科ルーブリック、学年ルーブリックを設定し、あらゆる教育活動で「課題解決学習(PBL)・探究」の学びを行っている。

定評ある英語教育では、言語や文化に対する理解を深めつつ、積極的にコミュニケーションを図る力を育成している。またペアワークやアクティビティーをおりまぜ、ディスカッションやプレゼンテーションにつなげることで生徒のアウトプットの機会を増やし、実際に英語を使用することを大切にしている。更に他教科内容や現実のトピックを題材に、思考タスクを多く行うCLIL(内容言語統合型学習)の手法を活用している授業もある。


田園調布学園中等部・高等部

英語科・大舘由奈先生による中学1年生の英語授業を見学しました。

授業の冒頭ではリズミカルなBGMに合わせ、色の表現を覚えるペアワークが行われました。
ボキャブラリーシートという、同校独自のハンドアウトと音楽を組み合わせ、中学1年生が楽しみながら語彙を獲得する仕組みです。覚えた単語のスペルが正しいかをクイズ形式でライティングの小テストを行い、獲得した語彙を定着させるまでの着実な流れがありました。
色の表現はインドの民族衣装サリーの色を説明するアクティビティで早速アウトプット活動に使われ、各タスクの繋がりが配慮されていることが窺えました。

次にロールプレイ形式のペアワークが、くまモン役の生徒とメロン熊役の生徒に分かれて行われました。ここで Only Englishのルールが明示され、Are you ~? Do you ~? Can you ~?といった基本文を使い、英語でやり取りしました。中には既習事項を組み合わせて、What country are you from?という比較的レベルの高い質問のできる生徒もいました。
ロールプレイは教科書の題材である、インド人の子どもが東京に訪問した際にどこに連れて行きますか?というタスクでも行われました。
インド人役の生徒がインドの人が一体どういうことに関心があるか、好きなものは何かと思考を重ねるタスクはCLILのCultureとCognitionの要素が入っています。その上で大舘先生は、日本人の案内役の生徒に「自分が最高だと思う場所に連れて行きましょう」と生徒がタスクを「自分」ごとにする意識を高めるような声掛けをされましたので、生徒のやる気が一層高まった印象でした。各生徒はワークシートに質問事項を記載してから英語でやり取りをするので、英語4技能がバランスよくトレーニングできる印象でした。
一例を紹介します。“What food do you like?”という問い掛けに“I like Japanese food.”と答えたので、“What Japanese food do you like?”と更に質問をしていました。その生徒は、現実にインド人を案内することができそうだと感じました。

最後は文法事項学習動画のセンテンスのどこにS(主語)やⅤ(動詞)があるか、itやthatが示すものの確認を行いました。更に大舘先生が、「前置詞シリーズをこの前やりましたね。前置詞はどうやって使われていますか?」と既習事項の確認を促すとともに、一つ一つの授業を集中して取り組むことの大切さを生徒に印象づける声掛けがありました。

同校の伝統である毎授業前に黙想して集中する習慣と、TESOLやCLILといった英語運用力を高めやすい手法の組み合わせは大きな成果を生みそうな予感がしました。

END