東京都にある国立高等専門学校の英語授業のご紹介
*東京工業高等専門学校
1965年に設立された国立の高等専門学校。中学校卒業後の5年一貫教育。機械・電気・電子・情報・物質の5学科が設置され、高い就職・進学実績を誇る。科学技術の進展、グローバル化など急速に変化している状況に的確に対応できる人材を育成するため「社会実装教育」*(注)に取り組んでいる。また海外校と連携した取り組みとして、2000年以来、フィンランド最大の応用科学大学であるHelsinki Metropolia University of Applied Sciencesと両校の学生が相互に留学して、学術交流を行っている。日本語及び英語によるコミュニケーション能力を身に付け、国際的に活躍しうる素養を持った技術者育成を目指している。
(注)社会の様々な課題を解決するためのプロトタイプ(試作品)を作り、それを実際に企業や公共施設で使用と評価をしてもらい、その結果を受けて更に改良するという一連の取り組み。
3年生英語リーディング授業
一般教育科准教授(英語) 樫村真由先生による英語リーディング授業は、vocabulary buildingと速読問題の答え合わせという基礎固めから始まりました。
同校では英語外部試験であるTOEICを生徒の英語力を客観的に測るツールとして活用しており、TOEIC頻出単語は重点的に習得しています。
次に長文課題のtrue(真)かfalse(偽)かを判断する問題に取り組みました。途中で重要な表現が出てくると、樫村先生が「strangersとはどのような人たちでしょうか?」「この英語表現は本文のどこに合致し、どこに合致しないでしょうか?」といった指導を行い、生徒の理解を促していました。
次は4名ずつのグループに分かれ、テキストの内容を理解する上で鍵となる重要単語である、happiness、freedom、failure等の定義づけを英語で行いました。各グループは活発な討議を行い、happinessについては「幸せではない人が求めるものでは?」とか、「幸せか幸せではないかは、どのように判断できるのだろう?」等、思考が深まっている様子が分かる発言も複数ありました。各グループで、辞書による定義を英英辞典で調べて理解した後、自分たちの定義を配布された用紙に英作文していました。その後、各グループごとの定義をホワイトボードに貼り、クラス全員がそれらの定義を閲覧し、一番納得のできる定義に投票をするという仕組みでした。
正確な英語表現で意味が明確な定義づけを生徒ができるようにするためには、日頃基礎の習得から高度な産出タスクまでしっかりと樫村先生が指導してこられていることが窺い知れ、感銘を受けました。
1年生英語リスニング授業
一般教育科准教授(英語) 樫村真由先生による英語リスニング授業は日常生活でよく使う表現である、海外で買い物をする際のやり取りを習得するタスクから始まりました。
“I would like a bigger(smaller) one.”や、“Do you have this in black?”等実際の場面で使える表現をしっかり身に付けていました。また少しレベルの高い表現として、“I’m looking for a bag for under 50 dollars.” 等、正確な自分の要望の伝え方を模範英語音声の聴き取りを行いながら着実に身に付けていました。更に店員の決まり文句である“May I help you?”は日本語で「いらっしゃいませ」とほぼ同じ意味だと、樫村先生が分かり易く確認をされていました。
異なる国で行われる海外留学のコースを選ぶ問題では、アクセントの異なる模範音声を聴き取ることにも生徒が挑戦していて、極めて実践的な授業だという印象を受けました。
END