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東京都中野区の私立中高一貫校*宝仙学園中学校・高等学校理数インターの授業「英語探究Ⅱ」のご紹介

授業のご紹介
2024/05/14
宝仙学園中学校・高等学校

*宝仙学園中学校・高等学校
1928年、同校の起源となる中野高等女学校として設立された歴史ある私立中高一貫校。
2007年4月、女子部とは別に共学の理数インターが設立された。理数インターとは、「理数的思考力を基に人と人をつなぐ」という意味であり、大きな特徴は学年ごとに異なるステージマップに基づく指導である。
1~2年の基礎定着期、3~4年の意識改革期、5~6年の自己実現期と生徒の成長に合わせたきめ細かな指導を行っている。
また主要5教科の授業時間数は首都圏屈指の27時間であり、更に中学3年間の授業時間数は学習指導要領より1,000時間も多いなど、国公立大学受験に必要な5教科の学力を確実に養っている。
理数インターが目指す学力像は理数的思考力・プレゼンテーション能力・コミュニケーション能力をバランス良く強化することと明示されている。
他校にはない「英語探究」授業をはじめ、生徒が自ら課題を設定して学力を伸ばしていくことが可能な教育を行っている。


高校3年生を対象とした選択科目授業「英語探求Ⅱ」の取り組みの1つは、多様な背景を持つ外国籍の方を授業に招き、その方の話を聞いたり、対話やディスカッションをすることです。
英語力の向上はもちろん、授業を通じ、生徒の価値観を揺さぶることも狙いとしています。

今回は、トロント出身のカナダ人講師CatherineさんによるThe Metis People(先祖に北米先住民と欧州からの移民の両方を持つ人)of Canadaをテーマとしたall Englishのプレゼンテーションから始まりました。
科目設定者かつ授業担当者である對馬教頭先生とJETプログラム派遣のカナダ人のSarah先生が講師とチームを組み、先生と生徒ならびに先生同士も頻繁にコミュニケーションを取り、英語のインプットが豊富に行われていました。

欧州からカナダに移住した人々が当初から取引を行ったのがビーバーの毛皮であり、生徒が一様に驚いていたのが、“Eventually, it grew to become a huge business that lasted for 250 years.”という説明でした。
250年も続いたビーバーの毛皮取引がカナダの文化と歴史において極めて大きな役割を果たしたことが分かり、生徒はこの事実を起点にカナダのことを更に深く調べようという意欲を持った様子でした。
Catherineさんが過去の歴史をふまえた上で現在注力したいこととして、“Bring back Metis people’s traditional culture.”と説明しました。
これにより、授業内容がカナダの人たちの現実の生活に関連していることが分かると、生徒の関心は更に高まった印象でした。

Catherineさんのプレゼンテーション終了後、生徒は6グループに分かれて次の問いについて議論を行いました。
1.What is food sovereignty? 2.Why is it important? の2つです。
どのグループも活発に意見交換を行い、「Food sovereigntyは食料主権という意味では?」「一部の企業が食料の流通を支配するのは悪いことだろうか?」「悪いことだとしたらその理由は何だろう?」など、極めて論理的な議論をしていたグループもありました。
授業の最後に各グループで議論したことのまとめを英語で発表しました。
一例として、“Food sovereignty encourages local farmers’ indigenous communities.”という、しっかりとした英語表現で高度な議論をしていたことが窺えるグループがありました。
カナダの文化や歴史を題材としたオーセンティックな学びで生徒の思考を深め、英語力も同時に強化していくという内容の濃い授業でした。
END