埼玉県和光市の*埼玉県立和光国際高等学校のグローバルイシューズ授業のご紹介
*埼玉県立和光国際高等学校
埼玉県立和光国際高等学校は1987年に公立高校としては全国初の国際高校として開校した。2004年には文科省から「スーパーイングリッシュランゲージハイスクール」の指定を受けた。教育理念は「国際社会で必要とされるグローバルリーダーの育成」であり、オーストラリア・イギリスでの2週間のホームステイ研修など多様な海外体験プログラムを実行している。また20か国を超える国々から毎年訪問者があり、日本においても国際交流できる環境が整っている。英語力の向上と教科理解の両立が可能であるとして近年導入校が増えているCLIL(内容言語統合型授業)については、2011年から上智大学と連携して継続実施しており、日本における先駆者的存在といえる。2026年の埼玉県立和光高等学校との合併をひかえ、優れたグローバル教育のベースに教科間連携と探究学習の要素を加えた、革新的カリキュラムを構築中である。
外国語科2年グローバルイシューズの授業は英語科山崎先生とカナダ人のJade講師による、all English team teaching で行われました。テーマは healthy dietです。日本と海外の food guideを比較しながら、健康的な食事という、生徒にとって身近な話題について考察を深めます。まずは3つのグループに分かれて日本・オーストラリア・中国それぞれの food guideの特徴分析を行いました。日本のものは spinning top (こま)型、オーストラリアのものは plate(大皿)型、中国のものは pagoda(仏塔)型という違いがあります。ワークシートには Taskとして、1. Why do you think a spinning top / plate / pagoda is used for the guide? 2. What are the messages? という問いがあり、生徒はこれらに答えていきます。
生徒たちは口々に “The figure shows the amount we should take every day.”や “This is our necessary nutrients.” などと説明を加えていました。グループディスカッションが終わると、それぞれで話し合ったことをグループ毎に発表しました。
生徒が英語で発表したことをJade講師がその場でパソコンに入力して全生徒が目の前のパソコン画面でリアルタイムに情報を共有する仕組みをとっていました。 そしてCompared to other countries, how would you evaluate the Japanese food guide? という問いに対して、その時点で理解できたことを3分で書き出すTaskに取り組みました。Jade講師は、“What is the difference?” “Which one is the easiest to understand?” と生徒が考えをまとめやすくするヒントを出していました。
次にA/B/Cそれぞれのグループから生徒が1・2名ずつ集まり、新たなグループを作った上で、全員が3つの国の food guide についての課題文を読み、設問に答えるTaskに取り組みました。ワークシートには日本・オーストラリア・中国のfood guideに記載されている内容と、その図が発しているメッセージを細かく記入していました。
次はJade講師が自国の Canada‘s food guide についてプレゼンを行いました。“Healthy eating is more than the food you eat.” 等、これまで見てきた3つの国にはなかった表現が用いられていました。Jade講師に対しては、生徒から活発に質問が出されました。 “Did your eating habit change in Japan?” や “Do Canadians cook by themselves?”など、生徒が思考を深めたことが窺える質問が多くありました。
最後は今回の授業の大きな目的であった、外国の food guide と比較した、日本の food guide についての評価をグループごとに発表しました。日本の food guide がこまのイラストを使っていたことについては、easy to understand と評価するグループと、hard to understand と評価するグループとに分かれていたので、次の授業ではディベートもできそうな内容でした。授業全体を振り返りますと、前時のボキャブラリービルディングに始まり、今時ではタキソノミーの低次思考から高次思考へと自然にステップアップするように授業がデザインされていたことが印象的でした。更に知識構成型ジグソー法により、生徒が Task を自分事として取り組み、効率的に多くの情報が共有できるスタイルができあがっており、学習効果が極めて高いと感じました。
END