豊島岡女子学園中学校・高等学校のall English理科CLIL授業のご紹介
【豊島岡女子学園中学校・高等学校について】
2022年に創立130年を迎えた東京都豊島区にある私立女子中高一貫校。創立時より一貫して女性として、人として備えるべき優しさ・礼儀作法・品位を重視した教育を行っており、授業前の5分間の運針(雑念を捨てて無心になる)や、小笠原流礼法の専門家による和室・洋室での礼法マナー講習は必修である。5教科全てに増加時間を設け、特に数学と英語の時間を多くしている。グローバル教育にも定評があり、ニュージーランド・カナダ・イギリスでの2週間強の海外研修をはじめ、全般的な英語力のスキルアップのためネイティブ講師が指導するEnglish Academicsや模擬国連など、その他様々なプログラムが用意されている。2018年にはスーパーサイエンスハイスクールに指定され、理系に強い生徒が多いことも特徴である。中学3学年を対象とした、教科横断型のSTEAM(Science, Technology, Engineering, Art, Math)を英語で学ぶ「STEAM英語」や、昨今注目されている、理科などの教科を英語で学ぶCLIL授業も含め、多様で充実した学びを実現している。
中学3年生のall English理科CLIL授業はアメリカ人のマイク講師と堀内先生によるチームティーチングで行われました。授業のテーマはBody Levers(身体に備わっているてこ)で、人体の動きに物理の原理があてはまるものを見つけるという興味深いものでした。
授業冒頭は “How are you?”“How is the weather today?”といった、平易な日常会話から始め 、難しいテーマに入る前に英語コミュニケーションのwarm-upをする意図を感じました。次にてこの原理に関する重要用語である fulcrum(支点)、effort(力点)、load(作用点)それぞれの働きについて、分かり易い図を用いながらアクションも交えてマイク講師と生徒が確認を行いました。

次は人体の構造について学びを深めます。マイク講師が “Every muscle and bone has the name.”と説明して、実際に自分の三角筋に触れながら三角筋の英語はdeltoid muscleであることを生徒に伝えました。三角筋は腕が動く際に重要な役割を果たしますので、間違えないようにdeltoidは三角筋であることを堀内先生が生徒と確認しました。次はペアワークです。
ワークの前に、各生徒はマイク講師が作成したハンドアウトに記載されたkey questionである、“What is the most common type of lever in the human body?”に対し仮説を立てました。
その上で腕の動きの確認のためにマイク講師が堀内先生の腕を抑えます。それに堀内先生が抵抗したあと、マイク講師が腕を放すと、自然に両腕が上がりました。それに倣って生徒はスムースにペアワークを行い、相手に抑えられていた自分の腕が意識せずに上がってしまうことを体験して、活動の中でてこの動きを説明する英語を自然に習得していた様子でした。仮説を検証できた生徒は結論として腕の動きが3種類のてこの動きのどれにあたるか、またそれが日常における何の動きに似ているかまで発表を行い、動きの仕組みの理解から思考を深められたことが分かりました。

丁寧な英単語の発音の練習と意味の確認をした上で、理科内容のてこの原理と腕の動きの関連理解まで進めており、CLILの緻密な授業計画と実践を継続されていることが窺えました。
END