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東京都中野区の私立中高一貫校 宝仙学園中学校・高等学校理数インターの授業「英語探究Ⅱ」のご紹介 その2

授業のご紹介
2024/05/28

前回から引き続き,高校3年生対象の選択科目授業「英語探究Ⅱ」をご紹介します。今回は,東京の政策研究大学院大学(GRIPS)に在籍されている,パキスタン出身のMasroor Syed Nasirさんをお迎えし,All Englishで行われました。

Nasirさんの自己紹介のあと,パキスタンの地理,言語,歴史,文化,経済,さらには日本との関係についてのプレゼンテーションが行われました。写真や資料を多く活用したスライドを用いているのが印象的でした。例えば世界地図を提示し,“Where is Pakistan?” “How far is it from Japan?” と問いかけたり,イスラム教国の国旗をいくつか挙げて “Which is my country’s flag?” とクイズを出すなど,生徒の興味関心や,他教科での学びを引き出すように展開されました。

英語探究Ⅱの授業では以前,同じくイスラム教国のトルコについての学習を行っていたグループもあり,生徒たちは互いに持っている知識を共有し関連づけながら,興味をもって参加していました。

そのほか,パキスタンで話されているウルドゥー語についても触れられました。「アッサラーム・アライクム(あなたたちに平安あれ)」「シュークリア(ありがとう)」等のフレーズが,英語でどんな意味に相当するのか,日常のどんな場面で使うのか学び,全員で実際に練習もしていました。
Nasirさん自身の日本滞在中の経験をもとに,食文化や交通機関のシステムが日本とパキスタンでいかに違うのか紹介する場面もありました。パキスタンでは様々な料理に香辛料を多く用いるため,寿司すらも“Very high in spices.” “Hmm… this is sushi… or maybe biryani…” とユーモアを交えて説明され,大きな笑いが起きました。

後半では,生まれてから現在までのtimelineを作成するタスクと,“What is your aim in life now?” や “What would you like to do when you grow old?” といった問いかけに対して考えるタスクが与えられました。どちらもみな真剣に向き合っている様子で,2人~4人のグループを自由に組んで活発に意見交換を行っており,お互いの価値観や意見を認め合い刺激しあう雰囲気が感じられました。

生徒たちが将来のビジョンについて意見を交わした後,Nasirさんは“All of this can change.” “You are the master and creator of your life.”という力強い言葉で授業を締めくくりました。Nasirさんの話すスピードは比較的速く,一般的な英語教材で扱われるアメリカ英語・イギリス英語にはない,パキスタン英語の特徴的な発音もありましたが,生徒たちは約2時間の授業に問題なく取り組めていました。強い好奇心をもって熱心に授業に参加できる生徒たちの学習態度と英語力が大変印象的でした。
また生徒たちは、授業後に、新たな気づきや講演者への感想を英語にまとめることが求められるため、講義中に専用のレポート用紙に全て英語で記録を取っていました。これは、授業担当者である對馬教頭が大切にしている、①英語「を」学び、②英語「で」学び、③「学びを英語にする」ことで、結果、生徒自身が自分の英語力はもちろん自分自身を見つめなおすことを体現していると感じました。