新中学問題集のこれから
取締役 編集制作部 部長 里田浩
『新中学問題集』は、難関校受験に挑む生徒のための問題集として1976年に創刊されました。
以来、学力層の広がりとともに標準編が加わり、基礎学力を確実に身につけさせるための“指針”として多くのお客様から支持されてきました。時代に応じた学力観の変化を踏まえつつ、良問を厳選し、磨き上げ、基礎を徹底して鍛えるという創刊の精神は、半世紀にわたって揺らぐことがありません。
ここでいう「基礎学力」とは、単に“基礎的な内容を学ぶ”ということではありません。
選び抜かれた問題に向き合い、試行錯誤し、先生方の導きを得ながら突破口を自ら見つける。その過程を通じて育まれる胆力、自ら学び続ける姿勢、新しい世界を理解できる喜び。こうした力を獲得するための土台こそが『新中問』のめざす「基礎学力」です。
少子化が進み、「高校は全入の時代」と言われる現代においても、学ぶ意義が失われたわけではありません。
むしろVUCAと呼ばれる予測困難な社会では、基礎学力の上に「思考力・判断力・表現力」を築き、「主体的・対話的で深い学び」へと展開する力がこれまで以上に求められています。
では、基礎学力を身につける方法は、かつてと大きく変わったのでしょうか。
本質は変わりませんが、環境は大きく変わったと言えるでしょう。
コンピュータやインターネットを使用した情報の即時入手、AIの進化、個別最適化コンテンツの普及などにより、「答えを探し求める経験」や「吟味する過程」は効率化されました。しかし、前述した胆力や自学の習慣は、本来“すぐに答えが出る環境”とは対照的な学びの中で育まれるものです。
だからこそ、『新中問』の創刊精神を守りながら、現代の学びの環境とのギャップを埋めていく新たな発想が今、教育開発出版に求められています。紙教材の良さを活かしつつ、デジタルならではの学習導線や自立学習支援――それらを調和させる次の50年の挑戦は、すでに動き始めています。




